2015年6月11日木曜日

簡易型Nシステムは自動車盗に効果なし?-栃木県の事例


自動車盗の検挙率、全国ワーストの県…なぜ? 読売新聞 2014年09月18日 11時24分
http://www.yomiuri.co.jp/national/20140918-OYT1T50076.html(記事は既に閲覧不可に)
栃木県内の自動車盗の検挙率が全国ワースト1位・・・県警によれば今年8月までの自動車盗の認知件数は全国7位。しかし検挙率は10.7%と最低・・・幹部によれば犯罪が広域化しているため捜査が難しくなっている・・・

栃木県の簡易型Nシステムは「重要犯罪捜査支援システム」との呼称で大量展開済みです。

発表時のローカル面


ところが記事によれば自動車盗の検挙率が全国最低なのだそうです。

自動車盗は県外から入ってきて犯行に及ぶなど、犯行が広域化しているからだとの事ですが、下のマップのように取り付けられたNシステム端末は役に立っていないのでしょうか。

アイコンの青(濃)は警察庁(国)仕様端末、青(淡)は県費での警察庁仕様に準ずる端末、その他◆は簡易型端末です。


この自動車盗の検挙率が低い原因を考察してみますと、まず自動車盗にとってはナンバープレートの付け替えなどは朝飯前でしょうからNシステムに対しては対策済みだろうと思われるのです。端末の設置数的には十分だと思いますが肝心のナンバーが弄られていれば無意味かと思います。

他に考えられるのが、Nシステムの運用が適切・効果的でない。予算を確保して設置した段階で満足してしまったとか、実際のところNシステムを積極的に運用しての摘発にあまり熱心でない。つまりドロボーさんあっての我々(ポリース)であるから云々、もっと予算欲しいし・・・といった組織の事情とか。

ポリースという組織は、適度の脅威が存在する環境においてその存在意義(存在の正当性)を得ています。また犯罪者が存在していて事件が起こってナンボという面も。つまり自らの存在意義のために事件は適度に起こるに任せているということです。ただ一応役所組織ですから保身はあるので、Nシステムのように対象を絞らずに全体を泳がせておけるシステムを運用していれば、何か大きな事件が起きた際に、日頃サボっていたとしても、なんとかなるんじゃないかと安心していられるのでしょう。

もしそこまでサボってないのに検挙率が低いのだとすれば、Nシステムを整備するという施策自体が適切でない可能性があります。自動車盗のような犯罪者は具体的に特定して積極的に捜査する必要があります。全部記録しているし事件が起きたら後で検索できるからというのはナンバーを弄っている様な連中には通用しない話です。Nシステムはそのような犯罪者には無力であり、犯罪とは無縁の市民の記録を延々と採り続けるという、無駄が多くコストパフォーマンスが悪く、法的にも問題がありありのとんでもない代物です。

もし路上端末(ナンバー読取機)をむやみやたらに増やしても効果が無いと認めるのなら、メンツがどうのこうのというような程度の低い話は無しにして、Nシステムを整備するという施策自体を中途で見直したり運用を止める等、引き返す勇気が欲しいところですね。


更新履歴
2023-11-29 全国マップの更新に伴い、埋込みMyMapsをblog執筆当時のマップを再現したものに差し替えました。
2018-07-06 マップの画像を削除し、MyMapsを埋め込みました
2016-03-10 マップの画像を最新のものに更新しました
2015-08-22 MyMaps版Nシステムマップへのリンクを設置しました
2015-06-11 過去記事にマップの画像を追加し、加筆・編集致しました