2015年1月4日日曜日

[ 2014年版 ]実地調査によるNシステムマップの制作(福岡県編)



今回は年始特別編として、Nシステムマップ制作作業の実際をご紹介しましょう。

まずはNシステム端末の設置場所を調べます。調査時、最低限携行するのはGPS loggerとデジカメです。実際にはそれらに加え地図が必要です。当ブログ主のお勧めは、Windowsが走るノートPCかタブレットにゼンリン社電子地図帳Ziシリーズをインストールしたものです。ノートPCの場合、車載することにより振動で故障してしまうHDDは予めSSDに換装しておきます。ゼンリン社電子地図帳Ziシリーズの場合、地図データはインストールするタイプですからモバイルの回線は不要です。この車載PCにGPSレシーバーを取り付け適切に設定を行うと、出先で自己の所在地が中心の地図が表示されるようになります。これでフィールドに出る準備が整いました。


調査の対象としては、現在福岡県の再調査に取り組んでいますのでこれを当記事の素材として扱います。


次の下準備として、事前に検討して探索コースを計画します。まず最初は単純なコースを設定してその地域のN端末分布の傾向を把握します。下の画像は実際に走ったコースを、携行したGPS loggerのデータを展開してマップ上に表示したものです。カメラのアイコンがある場所はN端末の撮影を行った場所です。佐賀の山中のものだけは風景を撮ったのであってN端末ではありません。

1回目



2回目以降は既知の情報を検討して、未発見のN端末を芋づる式に発見すべく、(極力)一筆書き状にコースを設定して走ります。

2回目


簡易Nシステム端末の更新分・増設分を、コース上におけるカメラのアイコンの位置で確認し撮影しました。特に下の画像のような設置がされている簡易N端末を見逃さないように注意します。



撮影が済んだらPC上でGPS loggerに付属するアプリケーションにデジカメ画像とGPS loggerが蓄えたlogを読み込ませ、デジカメ画像にGeo Tagを振ります。

その座標を読み出してGoogleMapsおよびゼンリン社電子地図帳Ziシリーズ上で対象の位置を確認し座標を確定させリストに搭載します。これを発見した全ての端末について行います。



リストアップが済んだら今度はGoogleMapsおよびゼンリン社電子地図帳Ziシリーズにリストを読み込ませマップ上で可視化します。

今回調査した福岡市近辺

現時点での県内調査済みエリア

紫色の■が2014年度から運用の簡易Nシステム端末、青が警察庁仕様のNシステム端末です。
福岡県の再調査は春日市以南の一部、筑豊地区の一部はまだ済んでいないためこの広域マップは現時点では公開していません。調査が終わり次第公開となります。

2017-02-20 マップは全国版に統合されました
[福岡県域]全国簡易型Nシステムマップ(簡易型/警察庁仕様/AVI等/オービス)


尚、今回の調査でH11年当時には国からの補助金を財源として設置された昭和通り(上下線分離)、那の津通り(上下線分離)、マリナ通りの警察庁仕様Nシステム端末計5箇所が、簡易N端末で以って更新されていることが判明しました。マップ上では水色の■で表示された箇所となります。



・・・

年末にこのような話題が報道されていました。

東京新聞 - GPS捜査 全国で運用 警察庁が要領通達 監視対象車に設置


裁判所の令状無しに被疑者の車両にGPS端末を取り付け動向を把握する捜査手法を合法とし、運用要領を示しているようです。

こちらもNシステム同様に、法的根拠なく運用されているものですから問題の根は同じです。

当記事で示したGPSログを見ても分かる様に、対象の動向が完全に把握出来てしまいます。これが令状なしの任意捜査 で出来てしまっていいのでしょうか? 念のため言いますが、このケースですと「任意」という言葉の意味は、法的根拠がなくとも警察の裁量・意向のみで行うという意味です。国や地方自治体の行いを見れば、やはりここは近代の法治国家ではなく未だミドルエイジズのようです。

Nシステム端末のこれ以上の増設も併せ、そろそろ何らかの歯止めが必要ではないかと思います。