2017年5月31日水曜日

楽しい共謀罪法案審議



「我々がニャニを共謀しているかって?」
「監視してるのかニャ?」
「暗黒の監視社会ニャ!」


共謀罪法案審議で珍事 安倍首相が金田法相の答弁「阻止」 by 日刊ゲンダイ



2017年5月29日月曜日

共謀罪とNシステム


過去に当ブログで言って来ましたように、Nシステムは無差別に(具体的な嫌疑の在る無しに関わらず)全通行車両および乗員に赤外線を照射して撮影し、それらの記録を長期間保存していますが、これは全通行車両および乗員が(潜在的に)犯罪に関与しているものとみなしていなければこの様な乱暴な手法を(現行の憲法下で)警察は採ることは出来ず、その運用にあたっては市民への重大な権利侵害を伴う、違憲・違法な情報システムです。

ところが一部市民にはほとんど抵抗なく受け入れられていたようです。
実態を良く知りもしないのに、お決まりの「犯罪者が捕まるなら良いではないか」から始まり、「反対する連中は何かやましい事でもあるのか」「Nシステムを問題視するのは極左過激派だけ」等と自分で考えたわけでもないような事を無意識に受け入れ、口に出していた人々が青ざめる時がやってきました。彼らは思慮が足らず浅はかでした。過去形で記述しているのは、彼らが悔い改めるには既に遅すぎるのです。“報いは巡り戻る”の始まりです。

他でもない、先日衆院を通過した「テロ等準備罪」こと「共謀罪」によってです。

この「共謀罪」は警察による市民の監視を大いに正当化します。
この「共謀罪」は警察組織を不必要な規模にまで肥大させます。
ついでに言うと(詳細は述べませんが)昨今存在意義が薄れている公安の権勢を維持させます。ただこれは対一般市民の監視とはまた別の話なので切り離して、本稿では一般人に共謀罪の嫌疑が掛かった場合について述べます。

この「共謀罪」の捜査では犯罪遂行の準備段階で摘発するため、必然的に包括的かつ継続的な監視が行われます。具体的な捜査(監視)手法の一部を以下に示します。

・通信全般の傍受(音声通話・メール・メッセージの類・LINE等・ネットの閲覧先)
・移動体通信端末の位置情報取得(検証許可状まで取得しなくても、“捜査関連事項照会書”にて可能と電気通信事業者側から警察に持ちかける程イージー)
・Nシステムに登録してのリアルタイム監視や事後検索(未登録でも全車両に対して可能)
・さらにNシステムには共犯者が運行する同行車を発見する検索機能があり、それも活用。

特段追加の人員・予算を割くことなく既に稼動しているインフラを駆使し、一般のターゲットの動向を丸裸に出来、暫くは監視しながら泳がせておき、警察が手柄が欲しいと思ったタイミングで随時摘発されるのです。ターゲットは生簀のお魚のようなものです。

さらに
・今年3月に最高裁大法廷で否定された「GPS捜査」も行う方針。与党と “ 維新 ” の修正協議で付則に「GPS捜査」の立法措置を検討する旨が書き込まれたとのことです。

一般人は捜査の対象にならないという金田法務大臣の答弁を真に受けてはいけません。
暴力団の周辺人物の知人やら使っている業者などの一般人に関して嫌疑があるかないかを確認するには、まず捜査しなければなりません。それは即ち前述のような手法による監視の対象になるということなのです。その結果嫌疑の有無が判明するわけですが、捜査の対象となっている間はプライバシーも何もあったものではありません。

共謀罪法の施行後は、警察は大手を振ってNシステムを運用出来ることとなります。直接の根拠法が出来たわけではないのですが、それに近い効果はあるでしょう。
その後は個別の運用法はおそらくこれまで通り必要ないでしょう。
インフラの整備が先行しているため今更根拠法を設けることはおそらく出来ず、既成事実化を共謀罪法が補強する形になるでしょう。
それでも依然として違憲で “ グレーゾーン捜査 ” の類には違いないでしょうが、Nシステムに関してはこれまでの経緯(判例)があるため最高裁に違憲と認めさせるのはかなり困難かもしれません。この辺りに関連しての話としては、新しい権利の類である “ 肖像権 ” についても最近良からぬ判例の積み上げで私どもの尊厳が損なわれて来ています。これについてはまた別稿にて。