2014年5月18日日曜日

Nシステムをリースで調達することの是非を考える

不定期連載・Nシステムに関する諸事情

2.Nシステムをリースで調達することの是非を考える


当ブログでは都道府県単位で簡易型と呼ばれる小型軽量で目立たないNシステム端末(ナンバー読取機)の存在に関して明らかにしてきました。

本稿ではその中でもリース契約で導入されたものに注目します。

リースでNシステム端末を導入すると聞いての第一印象は如何でしょうか。借りて済ませるのだからリーズナブルな出費で使えるのではないかとか、エコなんじゃないかとかでしょうか。そうではないのです。毎度の事ではありますが警察にとってはメリットだらけですが主権者・納税者にとっては何にも良い事は無いのです。以下に警察から見たメリットと主権者側の負わされるデメリットについて書きます。


・警察から見た利点 1.正面切って予算を獲得しなくても良い。

リースですと、リース料金(賃借料)は電力料金やら専用線の料金やらと同じ扱いで支出出来ます。交通信号を動かすための電気料金なんて誰も気にかけていませんよね。言うまでもありませんが大量に存在する交通信号を稼動させるための電力は都道府県が電力会社から購入していますが、いちいち議会でその電力料を支出するか否かの審議などしません。一度リースでNシステム端末を導入すれば警察にとって見れば権益ゲットとなります。

・警察から見た利点 2.常に最新の機種が使える。

一般に電子機器の類は期待寿命が10年程度、無故障で使えるのはアバウトですが平均5ないし6年位で、10年使おうと思えば導入時からの保守契約締結か故障する都度のスポット修理が必要となります。そして10年を経過すると故障の頻度が上がり稼働率が下がってしまいます。買い換えるためにはまた予算措置が必要となりますが、これが後ろにズレることが近年多くなっています。つまり買い換える予算が付くまで10年超使用している装置を使い続ける期間が数年間出てしまうことがあるのです。この間稼働率が下がると(ここのところ)監視カメラに全面依存する体質になっている警察としては都合が悪いのですが、リース契約ですと契約期間が5年から7年と短めになっています。これは会計上の耐用年数がそう設定されており、その期間が終了するとリース契約が更新され新しい機種に更新となるのです。このサイクルが(通常の調達と比べて)短く、5ないし7年おきに新機種に変わるため常に新しい機種が使えるということなのです。これはエコとは言い難い所業ですが、警察的には良いでしょうね。


・主権者の負わされるデメリット 1.リースだから安くつく等という事は無い。

リース契約の期間が5年から7年ということは、その期間で機器の寿命が尽きるという設定になっています。ですから取得するのに相当する金額を期間中リース料金として支払うことになりますので分割払いで購入しているのとあまり変わりません。分割払いと違うのは(金利に相当する)料率が低いということです。それからリース満了までリース料(賃借料)を支払ったとしても最終的に取得できるわけでもなくそのまま使い続けることはしません。保有しているリース会社から残価で買い取って使い続けることもしないでしょう。すでに述べたようにリース終了時点で建前上の耐用年数が尽きるからです。即ちその時点で更新(新しいリース契約を締結して新しい機器への取替え)となり、機器は廃棄されます。

・主権者の負わされるデメリット 2.都道府県民は終わりの無い債務を負わされる。

既に述べましたように一度リースでNシステム端末を導入すれば警察の実績となったも同然です。リース期間が満了する度に更新しますので、リース料(賃借料)を払い続けることとなります。終わりは無いばかりか増設すらされるでしょう。もちろん原資は主権者・納税者の支払う税金であり、そうでなければ自治体の債務となりますからやはり原資は主権者・納税者の将来支払う税金であります。


治安の維持に関し何らかの差し迫った必要性などが何も無いのが明らかな、草を食む様だと広告代理店が揶揄する若き人たちの中にはお金が無いので車を買えないという方も居られるこのご時世にですよ、(賃借料を支払うというリース契約上の)債務を負ってまでむやみやたらとナンバー読取機を増やす必要があるのか、主権者・納税者の皆様方にはポリースの権益確保のための事業にツッコミを入れて頂きたいところです。Nシステムによって治安が維持されている等という巷に流布されている「アイディア」は言いだしっぺの警察も証明することが出来ないものであり、Nシステムの効能などは、寓話“裸の王様”の世界で、王様が着ているとされる馬鹿には見えない服の如き代物だとブログ主には思えるのです。

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