2014年6月15日日曜日

警察がNシステムに拘る訳

不定期連載・Nシステムに関する諸事情

警察がNシステムに拘る訳


過去稿でも述べましたようにNシステムの運用は莫大なコストがかかる割には、表に出すことの出来る成果が著しく少ないものです。

その数少ない、大手柄と巷では考えられている成果の一つが割と最近の事例ですが田園調布の誘拐事件でした。

といってもNヒットがきっかけでスピード検挙に至ったという事実はおおっぴらには明かせないものだった様です。

株式会社日本事故情報調査機構さんによる田園調布誘拐事件の報道に関する記事
http://jikochosa.co.jp/blog/?p=924

リンク先にあるように、各社報道内容が違います。

S新聞ではNヒットしたため検問を実施して検挙に至ったという内容に対し、東北のブロック紙ではNシステムについて触れられていないといった具合にです。

S新聞は言うまでもなく当局寄り記事でしょうから警察のリークを元に報じており、東北のブロック紙は警察のプレスリリースがソースなのか東京支社で収集した情報がソースなのか、共同や時事の配信がソースなのか知りませんが、とにかく(何らかの判断で?)Nシステムについては伏せた報道内容となっています。

記者クラブ加盟社はプレスリリースの提供を中心にいろいろと便宜供与を受けていますし、夜回り朝駆けと呼ばれるスタイルの取材で警察幹部から聞き出した情報、また意図的なリークの場合もあるでしょうがそれらをソースに報じるのは一般的です。

また記者クラブ加盟社はあからさまに警察の広報であるかのような内容の放送を流すことがあります。例えば一例を挙げますと、某地上波キー局の夕方のワイドショー的報道番組において(改編前ですが)未解決事件に関して基本情報に加え、新たに明かされた情報を紹介し警察への情報提供を呼びかけるコーナーがあり、その中で行方をくらました被疑者に関し、Nシステムの事後検索結果で犯行後の足取りがある程度判明しているという内容の情報を流すといった様なものです。密着警察24時間みたいなタイトルのものも勿論そうです。これらのようなケースは明らかに御用番組(コーナー)とみられます。

ついこの間警察は秘密保持の徹底を組織内に指示したばかりだったのですが。被疑者に対してはNシステムで得たデータを突き付けないようにするけれど、マスメディア向けのリークには使うのかもしれません。

・・・

Nシステムの存在、そして現在の運用形態は限りなく黒に近いグレーゾーンにあり違法である可能性が高く、何度も言いますが正々堂々と運用の成果を発表できないような代物ではあります。

しかし将来において何らかの形で追い詰められた結果、ある日突然警察庁の役人が謝罪会見をしてその違法性を認め、運用停止・撤去を発表したりする可能性が・・・・・あるかというと、それはあまり期待できません。

では何故期待出来ないのでしょうか。やっぱりミドルエイジズなんでしょうか。そして標題の「警察がNシステムに拘る訳」とは。

理由1. まずお役人というのは保身が第一です。そして自分たちの無謬性が絶対的前提となっています。ですから自らの行為の違法性は(際どいことをやっていても)絶対に認めません。そしてなんといってもメンツに拘ります。ですから一度始めた事を中止したり出来ません。そしてN端末の増設も過剰なまでに次々と行われます。

理由2. 一般に役所で重視されるのは先例主義です。前例があれば悪事でも何でもやり易く、善い事であっても前例がなければ非常に困難になります。Nシステムに関して言うと違憲とはいえないという様な判例がありまして、Nシステムの整備を企画した当事者らや現行の責任者ら、そして幹部らは今や枕を高くして眠れることと拝察し、お慶び申し上げる次第であります。もちろん皮肉です。これは何の事件による判決かといいますと行政の違法行為を認めさせる目的で国賠訴訟を起こした勢力がありまして、その訴訟が敗訴した際に出来たものです。当ブログ主は原告でないので本件については責任がありませんし、この判例を目の上のたんこぶのように感じる一人であります。しかし上しか見ないサラリーマン裁判官に“画期的判決”など書けるはずも無いとは思います。

理由3. 今や携帯電話やスマートフォンを追えば特定の被疑者やターゲットを捕捉するのは容易でコストもあまり掛かりません。電気通信事業者には天下りを送り込むなどしているそうですから割とフリーに情報にアクセス出来るはずです。裁判所の令状まで用意しなくても捜査関連事項照会書にて電気通信事業者は各種照会や逆探、携帯電話の位置検索に応じている実態が分かる文書が過去に愛媛県警PMの私有PCからWinnyネットワーク上に流出しています。それでもNシステムという自前のインフラに拘るのは、全ての車両が潜在的に犯罪に関与しているという想定になっているからです。その為ヒットしなかった車両の情報についても消去せず蓄積し長期間保管されるのです。そして自前のインフラであればどの様に使われているものか、実態を隠蔽するのが容易だからです。

以上にみてきた様に、三権分立だの立憲主義だのと教わったのは多分建前上だけの話で実態は違うのです。ですから自らの尊厳を取り戻す為に当ブログでは回避行動を推奨しております。それには端末(ナンバー読取機)のリストアップが必要であり、せっせと続けるまでのことです。

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