2014年3月6日木曜日

Nシステム(自動車ナンバー自動読取装置)の問題点とは

明治時代の官憲は「むやみやたらと本籍地を離れるな」という趣旨の発言を市民にしていたそうですがそのメンタリティは現在においても全く変わっていないだろうと思わせてしまうのがこのNシステムの存在です。
官憲の意図とは、愚民は監視していなければ悪いことをする。だから全部記録を残しておこうというものなのです。

犯罪とは無関係の市民であっても公道上で赤外線を浴びせ掛けられ撮影され、記録が残ります。2,003年頃から隠し撮りまがいの目立たない簡易型Nシステム端末が増えています。



-Nシステムとは何か-

◆行政事業として全国に展開した公道上のナンバー読取機で、各地点において全通過車両のナンバーを読取り専用線で処理センターに送信、当システムに手配登録されている、犯罪に関与している車両等あるいは盗難車のナンバーと準瞬時に照合し該当したものがあれば警報(Nヒット)を発するものとされています。
◆警察だけにとってはとても便利な機構ですが、人々に犠牲を強いるもので、巷で考えられているような無害な代物ではないのです。


(以下、文章が冗長になるため“である調”で簡潔に記述します)

その問題点とは
●根拠法がなく運用されており、手続きもせず無差別に赤外線を照射して撮影している。ヒットに該当しない車両についてもデータを破棄せずに記録(車両・乗員が何時、何処の地点をどちらの方向に向けて移動していたか)を採り、その情報は相当な期間データベース上に残り、種々の解析がなされたり事後的に検索されることがある。これは全車両が(潜在的に)犯罪に関与しているものとみなし、全て記録を残しておこうという方針であれば採りうる粗い手法。

●当事者(車両保有者・運転者)がそれらデータがどのように使用されたかをチェックしたり、悪用されていないかを確かめることは一切出来ない。

●過去に露呈したのは愛媛県警のPM(警部)が、このシステムを運用して収集したデータ(延べ10万台分程度で大半は犯罪と無関係な車両のもの)を自宅に持ち帰った挙句インターネット上に流出させたことだが、この警部はたかだか停職3カ月の処分と異動で済んでおり、依願退職に追い込まれてもいない。何をやってもお咎めなしということなら、元々根拠法もないこのシステムの運用実態は闇の中と言われても仕方がない。

●このシステムで取得したデータは、手配車両を発見するという表向きの使途の他に、車両を使った犯行が発覚するきっかけとなったり、供述を裏付けるために参照されたり(茨城上申書事件)、泳がせている対象の動向を把握したりと便利に使われているらしいが、特に事後検索で、嫌疑発覚以前の過去に遡って出力されたデータは、違法な手法で収集された証拠という認識はさすがにあるらしく、これらデータは取調べでは活用しても、立件して検察に送致する際には付けて送っていなかったそうで、そのようなデータを収集し蓄積し続けていいのだろうかという葛藤はあるのだろう。無論警察側は重々承知しているだろうが法的にはアウトだろうと思われ、これが根拠法の整備に向けて踏み出さずに暴走し続ける理由の内の一つか。

●以前は被疑者に対して余罪を吐かせる為に当システムで得たデータのプリントアウトを見せて自白を迫っていたケースもあったと巷で聞くが、2,009年7月19日共同通信が報じたところによれば、裁判員裁判対策として警察では今後当システムで得た情報を被疑者に直接示さず、検察ではその存在や内容に関して被疑者に悟られない様秘密保持を徹底する方針が周知されたとか。これは裁判の過程で当システムで得たデータが証拠として公判等で吟味されたり市民裁判員の目に触れることになるのを恐れたらしいが無理もない。検察官にすら見せられないものを市民裁判員に見せられるはずもないからである。

●充分な数の読取機が展開した現在においては、登録してある対象の“泳がせが出来てる感”が充分に感じられるからか、ヒットしたからといって必ずしも確保(物理的な捕捉)に走るものではなくなっているとか。ますます建前上の(表向きの)使途からは運用実態が離れていっている。

●職業的犯罪者は最初から偽造・変造ナンバープレートを装着する等対策済みであるため実効性には乏しいのではないか。役に立つのは、準備不足または計画性のないその場の思いつきや衝動から一般人が犯行に及んだようなケースくらいか。最近では田園調布のお粗末な誘拐事件がそれに該当する。

●ヒットの判定や事後検索で使われるセンターのスパコン級処理装置および路上端末の運用には、機器の調達・更新費・リース料や、工事・保守費用の他に、電力料や専用線の料金や運用にかかわる要員の人件費など莫大な維持費が掛かり続ける。

●犯罪を未然に抑止するよりも、起きた後如何にして捕らえるかが重要視されている。なぜなら警察の手柄の主要な指標とは検挙率(検挙数/犯罪認知件数)だからである。県警もののNシステムを「初動捜査支援システム」と呼んでいる自治体があるが、要は巷で考えられているような「治安維持」「防犯」のためのものでなく、事件が起きた後警察が手柄を挙げる為に使うものなのである。存在自体を目立たない様にしていることからしても「防犯カメラ」の類ではない。だから人々が暗に期待しているような効果はあまり見込むことができない。

●仮にこのシステムの存在が知れ渡り犯罪が抑止されたとしても、公権力がテロ・犯罪抑止を声高に叫び、錦の御旗を振りかざし、人々を萎縮させ、人々の精神活動を(顕在意識において、あるいは潜在意識において)抑圧した結果、自由意志が行使される機会を阻害するなら社会の衰退に繋がるだろう。
(“である調”はここまで)


-Nシステムの実態とは-

以上に述べてきました様に、手続き抜きで行政が勝手なことをやり続けているのが現状です。
さらに、公式に国(警察庁)が認めている路上端末(ナンバー読取機)の設置箇所は平成23年度末で1,496とのことですが
http://www.npa.go.jp/yosan/kaikei/yosankanshi_kourituka/24review/23kohyo/23_37sheet.pdf(行政事業レビューシート)
それとは別に都道府県別に展開する、国が設置するナンバー読取機に準ずるものが他に数百箇所あったり、簡易型などと呼ばれる小型で目立たないナンバー読取機が大量に展開しているのが実態です。

このNシステムに関しては、特定秘密保護法の保護対象「特定秘密」に指定される可能性が高いと言われていますが、路上端末の設置場所は末端のPMでも知らされるものですから特定秘密にはおそらく該当しないと思われるのと、この法律はお漏らしした公務員を罰するもので、公の空間に設置してあるものを目視で調べていく際には関係ありません。また公務員を唆して(そそのかして)情報を得る積もりもありません。とりあえず現時点(2014年3月6日)で下記のリンク先を調査結果としてオープンに示すことができます。


-My Maps 版のNシステムマップ(設置場所の地図)リンク集

https://dumpthecore.blogspot.jp/p/maps-engine-liten.html




つづく
最終更新日 2023-03-25 古い記述を削除しました

4 件のコメント:

  1. このようなものがあると、よく調べられましたね。私たちはマイナンバー以前に、既に国家から監視管理されている訳ですね。

    返信削除
  2. コメントありがとうございます。
    車両を使っての移動は事実上警察への届出制が布かれているも同然です。

    返信削除
  3. 自分の家の近くにもありますので、調べてみます。誰かこれを問題にして欲しいです。

    返信削除
  4. taka zanさま
    私どもは避けて通ればよいという考えで、そのため真剣に調査を進めてきました。ちなみに訴訟は過去にある勢力が提起し2度敗訴しています。もし再度訴訟を起こすなら簡易型の存在を市民サイドで証明し尽くす必要があると思います。私どもは訴訟は提起致しませんが、手持ちのデータなら提供出来ます。また「国政調査権」についても検討下さればよいかと思います。

    返信削除